ＭＥＮＵ♪
★「やまねこ座は一等星」ってどんな作品なの？（まだ読んだことのない方のために）
★やまねこ座ってどんな星座なの？（そもそも「やまねこ座」なんて星座、本当にあるのでしょうか？）
★登場人物紹介♪（短編ゆえにキャラクターは少ないのですが、きちんと押さえておきましょう♪）
★ストーリー詳解（ストーリーを詳細にレビューしました♪ もろにネタバレですので、御注意ください☆）
★掲示板 （※Ｍｉｎｋ関連掲示板「Ｍｉｎｋちゃんとネットワーク」と共通です。「やまねこ座は一等星」の話題もぜひどうぞ）
ここは、立川恵先生のマンガ「やまねこ座は一等星」のファンのために作った、白石由里がお送りする私設ファンページです♪
「おねがいＮＥＴＷＯＲＫ☆」の中に間借りして作っちゃいました♪
一応独立ＨＰとして作ってはいますが、掲示板は「おねがいＮＥＴＷＯＲＫ☆」と現在のところ共通ですし、
アクセスカウンターも無いので、まあ、「間借り」ということになるでしょうか？
でも、「電脳少女☆Ｍｉｎｋ」６巻に収録されていますので、「おねがいＮＥＴＷＯＲＫ☆」内に間借りというのも理にかなっているかもしれませんね（笑）
もっとも、今後「おねがいＮＥＴＷＯＲＫ☆」が、立川先生作品の総合ファンサイト化を目指しますので、結局このページも吸収合併かもしれません（笑）
…というわけで、小さな短編マンガをヨイショしようという、実に無謀なページです☆（笑）
小さなページですが、楽しんでいただけると幸いです♪
（開設年月日：２００１年１月２５日）
御要望があればコンテンツを増やしたいとも思っています。
あなただけのすてきな星座がぜひ見つかるといいですね♪
更新履歴
２００１．０１．２５→公開開始
２００１．０２．１２→国会図書館に「なかよしはるやすみランド」の所蔵が確認されたことに伴い文章を一部改訂。
２００２．０８．０５→「やまねこ座は一等星」が「電脳少女☆Ｍｉｎｋ」６巻に掲載予定となったことに伴い文章を一部改訂。
２００２．１０．２１→「やまねこ座は一等星」が「電脳少女☆Ｍｉｎｋ」６巻に掲載されたことに伴い文章を一部改訂。
リンクについてはご自由にして頂いて構いません♪
なお、その際には、掲示板にてお知らせ頂けると幸いです♪
この作品は、「なかよし４月号増刊 はるやすみランド」（１９９９年）での企画特集「ロマンスランド春の恋特集館」という、春のラブストーリーを扱った読みきり短編作品の特集において、立川恵先生が描き下ろされた短編漫画です♪ この増刊号にヒロインの和奏ちゃんのカラーイラストが載っており、本号の目玉作品として注目される作品です♪
中学３年生の瀬戸口和奏ちゃんが本作品のヒロインです。卒業を間近にひかえた和奏ちゃんの、年下の男の子（山根くん）への告白できぬ想いの行方を描いた作品です。天文部に所属する和奏ちゃんは、「やまねこ座」と「山根」をかけ、知る人ぞ知るマイナーな「やまねこ座」に、告白できぬ自分の想いを託してきました。しかし、卒業したら、もう会えない…。なかなか出会えないやまねこ座。そして山根くんも会えなくなってしまったら…？ 自分だけ卒業してしまうこの時、和奏ちゃんの想いは一体どうなってしまうのか…？ こんな、卒業シーズンのせつなさを描いたラブストーリーが本作なのです。立川先生の独自の心理描写で、和奏ちゃんの想いを星空とからめた、卒業シーズンにはキュンとなる甘酸っぱいラブストーリーです♪
なお、この作品は、「電脳少女☆Ｍｉｎｋ」６巻に掲載されています♪
そもそも「やまねこ座って本当にあるの？」という疑問を抱かれる方も少なくないでしょう。「やまねこ座は一等星」を読む際の予備知識として、「やまねこ座」について知っておくと、より興味深く読めると思いますので、簡単に解説しておきたいと思います。
まず結論から言いますと、「やまねこ座」はちゃんとあります。しかし、知らない方が多いのはなぜでしょう？ それは、やまねこ座の成立過程及び特徴に関係があるのです。
そもそも星座というものは、紀元前３０００年頃、古代オリエントのメソポタミア地方の羊飼いたちが、夜通し羊の番をしながら星を観察したのが始まりであると言われています。また、紀元前２０００年頃のバビロニア王国においては、占星術なども誕生し、いわゆる黄道１２星座をはじめとする、今日の星座の原型となる星座が確立されたそうです。そして、ギリシャ神話にしたがった主だった星座が出現し、２世紀頃に天文学者プトレマイオスが著した「アルマゲスト」という天文学の教科書には、ギリシャ神話にもとづいた４８の星座が載せられているとのことです。よく知られている星座は、このように、古代に確立されたものでした。
一方「やまねこ座」は、これらの古い星座には含まれていません。望遠鏡の発達に従って、今まで見えなかった星が見えるようになってくると、それまで肉眼で確認できた星座たちの間に、たくさんの星が見えるようになってしまいました。それで、今までの星座の間を新たに星座で埋める必要が出てきたのです。この目的で、１７世紀にポーランドの天文学者であるヨハネス＝ヘベリウスが、いくつかの星座を考案しましたが、その中のひとつが「やまねこ座」だったのです。すなわち、やまねこ座は、神話の時代よりも遥かに未来に作られた、望遠鏡の発達した科学の時代に作られた、とても新しい星座だったのです。ですから、やまねこ座にまつわる神話もありませんし、肉眼で確認困難でもあるので、主要な星座としては扱われていません。ゆえに、知ってる人も少ないのです。
この星座は、肉眼での確認は、よほどの好条件でないと難しいといわれています。やまねこ座の中で一番明るい星は赤い色をしたα星ですが、明るさの程度は３．１等星です。そのほかの星は、マンガの中でも語られているとおり、４等星以下の星ばかりです。ゆえに、とても確認困難なのです。この星座を考案したヘベリウスは、「やまねこ座」と名づけた理由を「山猫のように視力の良い人しかこの星座を見つけられないから」と語っていたとのことです。位置的には、ぎょしゃ座、双子座と大熊座に囲まれた、肉眼では一見何もないと思われる空間にあります。なお、α星の近くには暗い二重星があるとのことです。
【基本データ】
学名：Lynx
略号：Lyn
面積：545.39平方度
肉眼星数：87個
概略位置：赤経7h50m、赤緯+45°
２０時南中：3月16日
南中高度：（北）８０度
瀬戸口 和奏ちゃん
この物語のヒロイン♪ 卒業を間近に控えた中学３年生の女の子です。天文部に所属しており、同じ天文部の後輩の山根くんに恋しちゃいました☆
その山根くんに自分の想いを伝えられないまま自分が先に卒業してしまうことが心残りで悩んでいますが、告白する勇気がなかなか出てきません。この悩んじゃう和奏ちゃんがとってもいじらしくて萌えもえなのです〜〜〜〜♪
印象としては、性格的にも雰囲気的にもぽわぽわした感じの女の子です。どこかほっとけない感じの子で、守ってあげたいぞ本能（笑）が働いちゃいます♪
何かと言えばよく物を落っことす女の子っていう感じです。後輩の英里子ちゃんに「先輩なのに大ボケだからな〜」とか言われています。後輩たちの和奏ちゃんへの接し方を見るに、あんまり先輩らしい雰囲気はなく、むしろ後輩たちの方が偉そうに見えるときもあります。新入生当時の山根くんにすら、「先輩だったの？
みえね〜」とか言われてしまっています。
そんな和奏ちゃんですが、卒業式での真樹ちゃんとみのりちゃんの「あたし絶対和奏ちゃんみたいな先輩になるんだ」という言葉は、和奏ちゃんが後輩たちに慕われていたことをよく表しています。３月になっても部室に出入りしているくらいですから、熱心で面倒見のよい先輩だったのかもしれません♪
きっと、天文部の楽しさを後輩たちに教えてくれた、やさしい先輩だったのかもしれませんね☆
また、あんまり先輩らしくない雰囲気が、もしかしたら後輩にとっては楽しく接しやすい先輩だったのかもしれません。部員たちが誰も知らない「やまねこ座」という星座を知っていたりと、実際のところ研究熱心な面もあったのでしょう。
でもでも、いくらなんでも卒業ぎりぎりまで天文部の部室にやってきているのは、単に部活熱心だからという理由だけではきっとありませんねっ☆
それに、かなりマニアックな「やまねこ座」という星座を知っていたのは、山根くんと名前が似ていたからだということは明らかです。星空の中でやまねこ座をみつめながら、山根くんへの想いを告白しつづけていたのかもしれませんね〜♪
星に願いを託す女の子って、なんか可愛らしいですぅ〜〜〜☆
きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪
山根 和明くん
天文部に所属する中学２年生です。誰にでも明るく笑う男の子で、笑った顔がとっても可愛い男の子ですぅ♪
散らばっているものをみると拾わずにはいられない性格です。…とはいっても、必ずしも几帳面ではないようで、拾った後の整理整頓はしていないこともあるようです。ぽけぽけな和奏ちゃんの落とし物をよく拾うのがこの山根くん☆
無邪気な明るさと包容力と、両方持ち合わせているっていう感じが、きっと和奏ちゃんのハートを捉えたっていう感じでしょうか？
でも、何となくニブイのか、和奏ちゃんの想いには気づいていないような気がしますが…？
その鈍さには、同級生の英里子ちゃんたちがやきもきしているようですね。
そんな山根くんは、星にきっと大好きなのでしょう。自分の興味がある星座の話題を語り出すと、人の話が耳に入らずに、話に熱中してしまいます。そして、星座を作ったいにしえの人たちに想いを馳せ、星たちをみつけることに情熱を傾けるのです。そんな純粋でひたむきな姿はどこか無邪気でかわいらしく（爆）、和奏ちゃんの心を和ませてくれるのです。そんな熱心な山根くんですが、「やまねこ座」は知らなかったようで、和奏ちゃんにどこにあるのか教えてもらおうとするのですが…？
このように、山根くんはもともと星に興味があったのかもしれませんが、天文部に入ったのは、入学早々に知り合った和奏ちゃんがいたからかもしれません。そんな山根くんの真意は一体…？
英里子ちゃん
「後輩シスターズ」の一人です。ポニーテールが可愛い中学２年生ですが、ツッコミの鋭い味のある女の子です（笑）。和奏ちゃんのぽけぽけぶりにいつもやきもきし、ツッコミを入れますが、実は…☆
真樹ちゃん、みのりちゃん
二人とも「後輩シスターズ」の一人です。なお、「後輩シスターズ」という３人は、特に姉妹というわけではないように思われますが…（笑）
【注意：本コンテンツは、ストーリー全般のネタバレですので、未読の方の中で差し支えのある方は御遠慮ください】
天文部に所属している瀬戸口和奏（せとぐち
わかな）ちゃんは、中学３年生。高校受験も合格してもう卒業間近でした。そんな和奏ちゃんの心残り、それは、大好きな人に告白もできないまま卒業してしまうことでした…。せつない和奏ちゃんの小さな恋の物語が始まります。
天文部の部室で和奏ちゃんは、後輩たちに「やまねこ座」の話題を持ち出します。この３月に、空のてっぺんに来ているようです。しかし、誰も「やまねこ座」のことを知りません。後輩の英里子ちゃんは「和奏ちゃん 先輩なのに大ボケだからなー」と言います。和奏ちゃんの勘違いだと思っているようです。和奏ちゃんは、やまねこ座は本当にあると力説しますが、英里子ちゃんは本気にしません。どうやら、和奏ちゃんは、ふんわりしたぽけぽけな感じの女の子のようですね。後輩たちもあんまり先輩っぽく接していない感じです。
そこへ「…呼んだ？」と言って部室に入ってくる一人の男の子がいました。思わず「どき☆」っとなり顔を赤くして、その男の子の方を振り向く和奏ちゃん♪ この和奏ちゃんの振り向いた表情がとっても可愛らしいです♪ 大きなダンボール箱を抱えて部室に笑顔で入ってきたその男の子の名前は山根和明くん♪ 和奏ちゃんにとっては天文部の後輩、つまり年下の男の子です。山根くんは、「やまねこ座」と和奏ちゃんが言ったのを、自分の名前を聞き間違ったようですね☆ 明るくて可愛らしい笑顔の男の子です♪ 山根くんが入ってきた時の和奏ちゃんの様子を見て、「後輩シスターズ」こと英里子ちゃん、真樹ちゃん、みのりちゃんの３人組は「はは〜〜〜〜ん」と、ピーンと来ます。英里子ちゃんはわざとらしく「そっか―― 和奏ちゃんは やまねこ座がだ――い好きなんだ――」と、冷やかすように言います。思いっきり焦りまくる和奏ちゃん。山根くんはそれを聞いて、「やまねこ座…？」と首をかしげながら「和奏先輩 それって もしかして…」と和奏ちゃんに詰めよります。もうドキドキの和奏ちゃん♪ 「バ バレた！？ あたしの気持ち」…と、もう気が気ではありません。しかし、山根くんは「ネコ好きなんスか？」と、これまたぽけぽけな発言をしちゃいます。どうやら、山根くんも、やまねこ座を知らないようですね☆ ずっこける部員たちの中で、一人顔を赤くしてドキドキしっぱなしの和奏ちゃん♪ この和奏ちゃんがまたらぶりぃです♪ 和奏ちゃんは「ヨカッタ ニブクテ」とほっとしますが、その一方でもしかしたら、自分の想いに気付いてもらえないことで、ちょっと残念なせつない気持ちもあるのかもしれません。
山根くんは「和奏先輩もマメだね ３年はとっくに部は引退だってのに」と言います。３月といえばもう卒業式までごくわずか。しかも高校入試が終わっている生徒も多く、３年生で部活に出てくる生徒なんて、まずいないでしょう。和奏ちゃんはそんなに部活に熱心なのか？ いえいえ、それだけではないことは、他の後輩たちは気付いています☆ 赤くなる和奏ちゃんの背後で、英里子ちゃんが思いっきりにやけながら、笑いをこらえています。英里子ちゃんは「どーしてそんなに熱心なのかな？」と、和奏ちゃんに詰め寄ってにツッコミます。答えがわかっててわざとツッコむ英里子ちゃん、ちょっといぢわるですね☆ もちろん、実は和奏ちゃんを想っての行動なのですが…。英里子ちゃんにツッコまれて焦りまくる和奏ちゃん。「星が好きだし、英里子ちゃんたちにも会いたいし」と誤魔化しますが、本音は既にみえみえです☆ 「ほーーそれから！？」とさらにツッコミをいれる英里子ちゃん♪ 「いわなくてどーすんのもうすぐ卒業だよ」という、怖いくらいの英里子ちゃんの気迫。もしかしたら今までもずっと、いつまでも告白しない和奏ちゃんにやきもきしていたのかもしれませんね☆ 焦りまくって思わず後ずさった和奏ちゃんは、星座早見表がたくさん詰まったダンボール箱をひっくり返してしまいます。「またやっちゃったよ」と言いながら片付ける後輩たち。和奏ちゃんは、こういうドジなところが多いのかもしれません。
後輩たちと一緒に、涙ぐみながら星座早見を拾う和奏ちゃん。すると、山根くんが、星座早見表を拾い出します。「あ、ありが…」と顔をほのかに赤くしながらお礼を言おうとする和奏ちゃんですが、その声が聞こえないのか、山根くんは、「ぽいっ ぽいっ」っと、あっと言う間にたくさんの星座早見表を拾っていきます。この拾う早業、かなり見事です♪ 拾うのに夢中で、和奏ちゃんの声どころか、和奏ちゃんが前方にいるのも気付かない山根くんは、思わず和奏ちゃんとおでこが「ごつん！☆」とぶつかってしまいます。大好きな山根くんと、おでこどうしがごっちんこしちゃった和奏ちゃんは、耳まで真っ赤になって「きゃ――」と後ずさります。この和奏ちゃんの仕草と表情がまた萌えもえなのです♪ そんな和奏ちゃんのドキドキな様子には気付かない山根くん。「はじめて会ったときも 和奏先輩のおとしもの ひろったっけ」と、思い出したように言うのでした。
おととしの春、それは、和奏ちゃんが中学２年生になったばかりのときでした。トイレ掃除をしていた和奏ちゃんは、トイレットペーパーをたくさん抱えて廊下を歩いていました。しかし、和奏ちゃんはうっかりして、トイレットペーパーを全部落っことしてしまいます。階段をどんどん転げ落ちて行くトイレットペーパーを必死においかける和奏ちゃん☆ 体いっぱいにトイレットペーパーが絡まってしまいます。一生懸命追いかけていったそのときでした。向こうから一人の男の子がやはり和奏ちゃんと同じように、体いっぱいにトイレットペーパーが絡まった一人の男の子がやってきました。「もうひとり ミイラがきた！！」と無邪気に可愛く笑うその男の子の笑顔に、和奏ちゃんは呆然となって顔も赤くなっていました☆ トイレットペーパーを撒きつけた姿は、確かにミイラみたいですが、和奏ちゃんの場合、なんだか羽衣をまとった天女さまのように見えるのは、私だけでしょうか？ 山根くんは、ちらばっているものは拾わないと気がすまない男の子でした。和奏ちゃんが散らかしたトイレットペーパーを山根くんは全部拾って、巻き戻してくれたのです♪
その一週間後、天文部の部室に、一人の男の子が訪ねてきました。「星 見せてもらえるの？」と無邪気にやってきたその男の子と和奏ちゃんの眼と眼が合った瞬間、男の子の顔は明るくなり、和奏ちゃんは思わず顔が赤くなって持っていた本を思わず落としてしまいました。そう☆ それは山根くんだったのです。 このとき和奏ちゃんと山根くんは、お互い相手が一つ学年が違うことを知りました。「うそー二年！？ 信じらんねー」と言う山根くん。やはりあんまり先輩っぽい雰囲気のない和奏ちゃんでした。なお、和奏ちゃんの落とした本を山根くんがさっと拾っているあたり、密かにチェックポイントです。
こうして和奏ちゃんと山根くんは知り合い、山根くんは天文部に入ることにしたのです。山根くんと再開した和奏ちゃんはとてもうれしくてうれしくて、そして、山根くんのことを好きだと気付いてしまったのです。
さてさて、あっと言う間に星座早見表を拾ってしまった山根くん☆ 散らばっているものを拾わないとキモチわるいと言うだけあって、拾い終わった後の山根くんの顔は晴れ晴れしていますが…。どうやら山根くんは拾うことだけに夢中で、あんまり整理整頓までは考えていないようです。「どうせならそうじしな 山根！！」と睨む英里子ちゃんに対し、山根くんは「それはやでーす」と無邪気に笑いながら答えます。この笑顔をみた和奏ちゃんは、山根くんが誰にでも明るく笑っていることに改めて気付きます。そして、拾った星座早見表を眺めながら、ちょっとせつない想いになってしまうのです。それにしてもたくさんの正座早見表です。なんのためにたくさんあるのか？ それは、今度入ってくる新入生の勧誘のために配るというのです。この楽しいアイデアに、和奏ちゃんも「あたしもがんばる」と張りきります。しかし、和奏ちゃんはもうすぐ卒業です。春にはもうこの学校にはいないのです。英里子ちゃんにそのことを指摘された和奏ちゃんは、こころがズキっと痛み、とてもさみしくなってしまうのでした…。
もうこの学校にはいられない。もう天文部にはいられない…。山根くんのいるこの学校にも、天文部にも、春には自分はもういない…。自分がいなくなったあとに可愛い新入生が入ってきて、山根くんのことを好きになっちゃったら…？ 和奏ちゃんは、そんなことを考えて哀しい気持ちになってしまいます。そして、山根くんが可愛い新入生と楽しそうに話しているシーンを想像し、嫉妬してしまいます。告白する勇気もないのに嫉妬だけする自分が、なんだかみじめになってしまう和奏ちゃん…。自分の想像をかき消そうと頭をブンブンと強く振る和奏ちゃんは、持っていたプリントを何枚かおとしてしまいます。「和奏先輩っ！！」と叫ぶ声が突然聞こえます。山根くんが、和奏ちゃんの落したプリントを拾ってくれたのです。ところが、そこへ突風がやってきて、和奏ちゃんの持っているプリントを飛ばしてしまいます。慌てて拾おうとした和奏ちゃんは、渡り廊下から落ちそうになってしまいます！ 落ちる…と思ったそのときでした。「ぜんぶひろったー！！！」と無邪気に喜ぶ声☆ 山根くんが、和奏ちゃんの落としたプリントを全て拾ってくれたのです。そして、プリントだけじゃなく、和奏ちゃんも……☆ 大好きな山根くんに「ひろわれた」和奏ちゃんの心臓はもう、ドッキドキしっぱなしです♪ 赤面しながら「痛くなかった！？」という和奏ちゃんの話が聞えていないのか、山根くんは、急に星座の話をしだします。無数に空に広がる星…。その星たちを拾って整理して星座にした昔の人たち…。空を見上げながら山根くんは、星座をつくったいにしえの人たちに思いを馳せるのです…☆ そんあ無邪気な山根くんに、和奏ちゃんはついつい顔がほころびます。そんな山根くんが、和奏ちゃんはすごくすごく好きなのです♪
和奏ちゃんが運んでいたプリントは、天文部の春の観測会のプリントでした。「先輩のやまねこ座も空からひろえるかな？」と、山根くんは、尋ねます。和奏ちゃんが大切に想ってきた星座、やまねこ座…☆ そんな星座をもし山根くんが拾ってくれたら…☆ そう思うと、和奏ちゃんの胸はドキドキにときめくのでした♪ 四等星ばかりのみつけにくい星座…。地上のあかるさで、まして会えない星座…。会えない…、そう、桜が咲く頃には、もう山根くんには会えなくて…！！ 和奏ちゃんの胸がズキっと痛みます。このまま会えなくなってしまったら…？？？ たまらなくなった和奏ちゃんは、「山根くん、あたしね ずっと…」と、思わず山根くんへの想いを告白しようとします。しかし、山根くんは、相変わらず星を見る話に夢中で、和奏ちゃんのせっかくの言葉も耳に入りません。「よし やまねこ座を ひろいにいこう！」と山根くんはつぶやきます。思わず「まさか ふたりで」と期待してしまう和奏ちゃんですが、山根くんの目は、天文部の観測会のプリントを見ていました。山根くんは、「先輩のやまねこ座」を純粋に見たいという思いでした。しかし、自分はもう天文部にはいない…。いっしょにはいけない…。大好きな山根くんといっしょに行けないんだ…！！ 「おしえてよ 先輩！」と尋ねる山根くんに、和奏ちゃんは、「ぜったい おしえないっ！！」と叫んで走り去ってしまいます。
和奏ちゃんにとってずっと大切に思ってきた星座…。その星座には、桜が咲く頃には会えない…！！ 無数の星が落ちている広い空のどこかに、和奏ちゃんは歳の差をおっことしてしまいたい…！！ 泣きながら和奏ちゃんは、叶えられない願いをつぶやくのでした。
でも、もし、あの時告白できていたら…？
やがて、卒業式の日がやってきてしまいました。「おめでとう！」と、真樹ちゃんとみのりちゃんがお祝いにかけつけてくれました。嬉しさと寂しさが入り混じり、もう和奏ちゃんはぼろぼろ大泣きです。そんな和奏ちゃんに、真樹ちゃんとみのりちゃんは、早く部室へ行ってみるようにせかします。部室に向かう和奏ちゃんの後姿を見送りながら、真樹ちゃんとみのりちゃんは「二年間…すごく楽しかったね」と涙ぐみながらつぶやきます。「あたし…ぜったい 和奏ちゃんみたいな先輩になるんだ」「……うん」という二人の言葉には、和奏ちゃんの人柄がとても表れています。和奏ちゃんは、実は後輩たちにとても慕われていたのですね♪ きっと、部活のたのしさとかをいっぱいいっぱい教えてくれた、面倒見の良い先輩だったのかもしれません。卒業のぎりぎりまで来ていてくれたやさしい先輩がもういなくなる…。それだけで、後輩たちの心には、万感の思いがよぎったのかもしれません。
さて一方、天文部の部室を訪れた和奏ちゃん。中から突然英里子ちゃんの叫び声が聞こえます。そこには、英里子ちゃんと山根くんがいました。「和奏ちゃんがこのまま卒業しちゃってもいいの！？」と問い詰める英里子ちゃんは、必死です。「もう会えないんだよ」という英里子ちゃんの問いかけに、山根くんは「オレにはカンケーない そんなこと！！」と怒鳴ります。呆然とする英里子ちゃん。そして、和奏ちゃん…！！ 「カンケーない」の言葉にショックを受けた和奏ちゃんは、思わず卒業証書を落としてしまい、そのまま逃げるように去ってしまうのです。誰にでもやさしかった山根くん…。和奏ちゃんだけに特別ではなかったのでしょうか？ 山根くんの気持ちが自分の想いとは関係なかったと悟った和奏ちゃんは、泣きながらやがて星空の下へやってきていました。「告白して失恋していたほうがずっとよかった」と、在学中に告白する勇気のなかった自分を、和奏ちゃんは後悔するのでした。
突然和奏ちゃんの頭を「ポン」と叩いたもの。それは、和奏ちゃんの卒業証書の入った筒でした。「こんなもの おとしちゃだめだよ」と、またしても和奏ちゃんの落し物を拾ってくれたのは、やはり山根くんでした。和奏ちゃんが星空におっことしてしまおうとした歳の差を、山根くんはちゃんと拾って和奏ちゃんのもとに届けるのです。
星空の下、山根くんは「卒業おめでとう……先輩」と、お祝いの言葉を伝えます。そんな山根くんはやさしい笑顔でした。でも、どこか寂しげでした。なぜ山根くんは今更自分をおいかけてきてくれたのか…？ どうしてと問う和奏ちゃんでしたが、山根くんは聞こえていないのか、星空を見上げ、「どれがやまねこ座？」と問いかけます。和奏ちゃんは、そんな山根くんの姿をみて、たまらなくなりました。泣きながら「おしえない」と意地を張ります。「先輩っっ」と、あまりの和奏ちゃんの「いじわる」に、山根くんも叫んでしまいます。和奏ちゃんは、必死に山根くんに、星座を教えない理由を叫びます。和奏ちゃんにとって、やまねこ座は大切に思ってきた星座…。山根くんの星座だったのです。四等星ばかりの星座…。でも、和奏ちゃんにとっては一等星☆ たとえ会えなくても、たとえ見えなくても、和奏ちゃんにとっては一等星なのです。だから、とても大切な星座だから、誰にも絶対教えるわけにはいかないのです。
山根くんは「カンケーない」とつぶやきます。思わずビクっとなる和奏ちゃん。しかし、山根くんの言葉は、和奏ちゃんの予想を超えていました。山根くんにとって、和奏ちゃんが卒業するかしないかということは、関係無いことだったのです。
だって、山根くんは、ずっと変わらないから…。
だって、山根くんは、和奏ちゃんのことがずっと好きだから…☆
和奏ちゃんが中学校に落としてきたままになっていたせつない想い…。それを最後に山根くんはちゃんと拾ってくれたのです♪
和奏ちゃんだけの一等星は、和奏ちゃんと山根くんの二人だけの一等星になりました。たとえ四等星ばかりでも、二人にはいつも輝いて見える星…、それがやまねこ座なのです♪
毎年春になると、きっとやまねこ座を拾いに来ている女の子と男の子がきっといることでしょう。そして、男の子はこれからもずっと、女の子の落し物を拾いつづけてくれることでしょう☆